クリニックのレポート その3

クリニック&トレーニングコースのレポートです。金沢へ行ってきました。

場所:石川県T様宅 6畳+6畳の和室 天井高2.4m程度 畳

お悩み:音楽が右に寄って聞こえる。

カウンセリング中の部屋の印象:
和室なので適度にデッドで、嫌な響きがなくリスニングに適している音響という印象。ただし、畳の材質違いで同じ6畳和室でも響きが微妙に異なるのは興味深いものでした。

ビフォー試聴:
レクスト試聴ルームを再現したようなレクスト・リファレンス機のフル装備。セッティングもよく勉強されており、パッと見ただけでは完璧に見えました。T様は長く「音が右に寄って聞こえる」問題に悩まれています。お電話やメールで何度もやりとりしてきたのですが、上手く解決できませんでした。そこで、思い切ってクリニック&トレーニングコースを申し込まれたのです。

結果を先に言えば、無事解決できました。原因は簡単ではなく、複雑に絡み合った複合原因を解き明かす必要があり、実際にお伺いしなければ分からなかったと思います。私でなければ解決できない案件ならば、遠方でも行くしかありません。

実際に音を聴いてみると、右に寄っているというよりは、センター音像が甘い印象。機器の故障も疑いながらの金沢訪問でしたので、これならば即時に解決可能と一安心。クリニックの基本通り、ルームチューニングとスピーカーセッティングを正確に行い、その過程で解決方法を見出していきます。


作業内容:
(ビフォー動画撮影)
1.レゾナンス・チップRTによるルームチューニング

ご提案図作成サービスを利用されていますので、私の指示通りにレゾナンス・チップRTが貼ってあります。実際に部屋を確認してみると、壁の材質が想像以上に柔らかい塗り壁でした。写真からは見えてこない症状です。珪藻土などの塗り壁でもレゾナンス・チップRTは対応可能ですが、ここまで仕上がりが柔らかいと、逆に柱や桟を狙って貼る位置を変更したほうが良さそうです。

また、6畳+6畳という二間続きの和室ですから、合計12畳。約10畳までの対応であるレゾナンス・チップRT×1セット(=10個)では少し足らない印象で、やはり12個は使うべきところでした。実際に音楽を聴くときは、間仕切りの襖を閉めて6畳のみしか使用していないということから、システムの置いてある部屋のみのルームチューニングに変更しました。


2.レーザー墨出し器によるスピーカーのフォーカス合わせ

お客様ご自身でもレーザー墨出し器を使ってスピーカーをセッティングされていました。私が精度を確認してみると、大きくズレが生じています。原因は床の強度不足で、スピーカーに近づくと床がたわみ、レーザー墨出し器を設置している三脚も微妙に動いてしまい基準線が機能していないことでした。私が作業しても同じことで、上手く精度が出ません。

そこで三脚設置を諦め、天袋の桟にレーザー墨出し器を置いて基準線を出すことに。これが大成功。歩き回ってもレーザー基準線がビクともしません。

clinic_140701_1.jpg

赤丸のところにレーザー墨出し器を置きました。これで精度の高いスピーカーセッティングが可能です。

clinic_140701_2.jpg

ルームチューニングとスピーカーセッティングの変更で、かなり濃いセンター音像が出現してきました。その後は、細かい対策を追加していきます。


3.スピーカーRQ-F7を整備&再調整
4.障子を外す
5.スピーカーとアンプのスピーカーターミナルの締め付けトルク調整
6.CDラックを別の部屋へ移動
7.椅子の高さを変更
(アフター動画撮影)

効果的だったのは障子の撤去でした。ウッドブラインドを追加されているので、基本的に障子は不要とのこと。試しに障子を開け閉めすると、結構センター音像に影響していることが分かりました。特にスピーカー後ろの障子は無いほうが明らかに好印象です。ウッドブラインドの後ろに隠れている障子だけに、なかなか見落としがちな原因。やはりスピーカー付近の吸音は無いほうが良いというセオリー通りの結論です。

音が右へ寄っていた原因は複雑でした。最後の確認試聴で明確になった原因のひとつは、頭の右側30pくらいのところに、大きなデッドスポットがあるということ。おそらく定在波の影響でしょうが、ここにハマると音が急激に弱くなる印象があります。この影響を弱めるように物を動かして対応しましたが、今後も要注意です。気になるようだったら、システムを50pくらい左へ移動させると良いでしょう。

もうひとつには、お客様自身の補正が弱くなっていることも挙げられるでしょう。ヘッドホンを活用して、センター音像を頭の真ん中へ定位するようにする練習もご提案しておきました。脳の補正回路が強力ならば、少々のセンター音像のズレくらい、強制的に真ん中へ持ってこれるようになります。エンジニアさんがスタジオの劣悪環境でもブレの無い仕事ができるのは、強靭な補正回路を心に有しているためです。

といっても、強いセンター音像が出現するようになりましたので、楽しんで音楽が聴けるようになったと思います。はるばる金沢まで行った甲斐がありました。お客様にも喜んでいただけたのではないでしょうか。私も大いに勉強になったクリニックです。

最後に、トレーニングとして“スピーカーターミナルの締め付けトルク調整”を練習。私のお手本を元に、お客様自身に実践してもらいます。「自分が締めると、まるで音楽が逃げていくよう。なんで西野さんが締めると、こんなに音が太くなるの???」と不思議そう。練習で、まずまずの合格点までできるようになったのではと思います。

では、ビフォーアフター動画をお楽しみください。エレキバイオリンの音色と音の力強さに着目すれば、今回のクリニックの成果を感じていただけることでしょう。ゲインがいつもの比較試聴動画と比べて小さいのは、お客様の聴いているボリュームのまま録画したためです。少し音量を上げて聴いてみてください。

ビフォー動画


アフター動画



次の東京出張は7月中旬くらいの予定です。平日か週末かご希望をお知らせいただければ、スケジュールを検討させていただきます。クリニックご希望の方は、お気軽にお問合せください。

 ≫クリニック&トレーニングコースの詳細
2014/07/03(Thu) 18:05:14 | クリニック

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