DAC-NS1Sの最大の特長は、NS441D技術による“CDソフトから44.1kマスターのサウンド”を引き出すことにあります。聴いていただければすぐにご理解いただけるのですが、文章で表現するとなると、なかなか難しいものがあります。できるだけDAC-NS1Sの音楽再現の雰囲気がお伝えできるよう、解説してみたいと思います。
音楽の情報として下図のようなものをイメージしてください。左右方向の情報がX軸、上下方向の情報がY軸、前後方向の情報がZ軸です。

音楽制作の現場では、意識的にしろ無意識にしろ、この方向性の情報は重要視されています。音像を形成するのに、必要不可欠だからです。ステレオ方式は左右のX軸は当然ながら、高さのY軸、前後のZ軸が存在しています。
例えば、ボーカルとピアノ伴奏。ボーカルが前に立って歌い、後ろにピアノ伴奏となるよう音像を配置するのが一般的です。その再現には前後のZ軸情報が必要不可欠となります。
音楽制作現場では、このXYZ軸情報を駆使して音楽を記録します。それはマイクセッティングだったり、ミックスダウン作業だったり、手法は様々です。CDソフトを作る場合、44.1kHz/16bitマスターを製作し、音楽情報は工場へ送られます。
この44.1kHz/16bitマスターには、XYZ軸情報が美しく記録されています。マスタリングが終わり、関係者一同で完成された44.1kHz/16bitマスターを聴く瞬間は、なんともいえぬ達成感とともに、音楽の誕生に大きな感動を覚えます。
しかし、プレス工場から仕上がったCD盤を聴くと、残念ながら44.1kHz/16bitマスターを聴いたときの感激は再現されません。プレス工程でのデジタルコピーによる鮮度の劣化もひとつの要因ですが、私が最も重要に感じるのは“前後Z軸データの変貌”です。
下図は、音のXYZ軸を上から見た図です。音楽がCD盤になった状態を聞くと、あたかも前後に1枚ずつ“壁”のようなものが出現し、前後のZ軸情報が極端に少なくなっているように感じます。それだけでなく、壁の間でZ軸情報が乱反射し、音を濁らせているような感覚さえ存在します。結果、CDソフトには44.1kHz/16bitマスターの面影は無くなり、CD独特の平面的に音楽が聞こえてしまうのです。

とはいえ、もちろんCDからも前後方向への音の広がりを感じることが可能です。これは、左右上下方向のX・Y軸データから、失われた前後Z軸データを補完しているように感じています。その証拠に、今まで立体的に感じていたCDプレーヤーでさえ、DAC-NS1Sから流れる音楽を聴いた後には、とても平面的なサウンドに感じられてしまいます。前後Z軸情報有りの音楽を聴いてしまうと、心の補完回路が機能しなくなるようなイメージです。
このCDの“壁”を取り除くのが、NS441D技術。前後Z軸の情報を取り戻した音楽は爽快そのものです。ミュージシャンやエンジニア、ディレクターなど、音楽制作に関係す皆様が、口をそろえて「これはマスターの音だ。」と感想を述べられます。CDソフトからこの音楽が聴こえるのは、今まで不可能だと思われてきました。それがCD25年の歴史で、初めて可能となったのです。
一般のCD再生がその平面性からテレビに映し出されている音楽とすると、DAC-NS1Sによって蘇った44.1kHz/16bitマスターの音楽は演奏している情景を見るようです。特に前後Z軸情報を重視して音楽を聴かれている方には、大いに喜んでいただけるはず。CDプレーヤー遍歴を重ね不満をお持ちの方にこそ、DAC-NS1Sを聴いていただきたい気持ちでいっぱいです。
アンプやスピーカーは、増幅や変換が使命ですから、上流で失われた前後Z情報を取り戻すことはできません。オーディオで上流の大切さが議論されますが、CDの壁が取り払われた今、その真意を実感せずにはおれません。
お手持ちのCDプレーヤーのデジタルアウトをDAC-NS1Sに繋げば、全てのCDソフトが44.1kHz/16bitマスターの音楽として輝きだします。それは、アーティストや制作スタッフ一同が、完成時に心を熱くしたその音楽と同じものなのです。CDソフトが、固く・冷たく・表現力に乏しく・平面的と言われたのは、もはや過去のことです。CDソフトにも44.1kHz/16bitマスターと全く同じ音楽が刻まれていることを、DAC-NS1Sが証明します。音楽は、柔らかく・熱く・エモーショナルで立体的なのです。そして何より、感動を届けてくれます。
重要なのは機器ではなく、音楽です。DAC-NS1Sは、その音楽がそのまま心に届くようお手伝いするだけ。CDのプレイ・ボタンは、演奏開始の合図。機器の存在はオーディオルームから消え去り、音楽が満ち溢れることでしょう。