ステレオ誌6月号、執筆ウラ話

先日発売されましたステレオ誌2013年6月号で、特集『スピーカーセッティングの盲点を突く!〜スピーカーが消えるセッティング術〜』を執筆しました。10ページの新作書下ろしです。ご覧いただけましたでしょうか。

stereo_130521.jpg

私の個人的なモヤモヤなのですが、最近のオーディオ誌を読んでも、なんだかワクワクしなくなりました。以前は、とんでもないアイデアのオーディオアクセサリー登場に驚いたり、思いもつかなかった音質向上テクニックが発見されたりと、毎月のオーディオ誌発売が楽しみだったものです。それが、最近はレビュー記事中心で、そのレビューもお決まりの展開ばかり。カタログデータを羅列し、試聴結果は良好、結びのセリフは「コストパフォーマンスが良い」といった感じです。こんなフォーマット通りのレビューなら、コンピューターの自動筆記でもやれそうに思います。

私は、もっとオーディオ界を面白くしたいと願っています。オーディオ関連著書を3冊立て続けに執筆したのもそのためです。そして、いよいよオーディオ誌から執筆オファーが来ました。ここはアッと驚く記事を書き、オーディオ誌にも一石を投じたいところです。

アイデアは徹底的に練りました。考えたのは、私がステレオ誌読者だったころ大好きだった“読者訪問クリニック”の復刻。単なるリメイクでは面白くないので、セッティング・テクニックのトレーニングというアイデアを考えました。

著書『すぐできる! 新・最高音質セッティング術』で解説した内容そのままではありません。ステレオ誌読者さんならば、一からスピーカーセッティングするのは面倒なはず。ある程度、自分の好みも含めスピーカーが設置されていると想定しました。そこに、レーザー墨出し器を使用した精度の高いスピーカーセッティング技術を投入し、驚きの音質向上を行うという流れです。スピーカーセッティングの基本形でありながら、効果絶大のテクニック。現状のスピーカー位置を数ミリ程度動かすだけの、超簡単音質改善が実現します。

そして、あえて今回の記事ではレクスト製品の使用を封印しました。ここでレクスト製品を投入すれば大幅音質向上は簡単ですが、宣伝記事と間違われては困ります。宣伝ゼロの、テクニックだけの音質改善に挑みました。

当初はレクスト青山での取材を考えていたのですが、運良くステレオ誌編集部のお一人から、お宅訪問のOKが出ました。ホームグラウンドのレクスト試聴室ではなく、お宅訪問というアウェイでのぶっつけ本番こそ、スリリングな記事に繋がり、読者の皆様にも楽しんでいただけることでしょう。

今回のもうひとつのポイントは、私がセッティング調整を行うのではなく、システムのオーナー自身にテクニックを授け、自分で良い音を出すという流れです。私がセッティングすれば音質向上するのは簡単ですが、「凄いですね」の一言で終わってしまう可能性が高いのではないでしょうか。それに、掃除やシステム変更で簡単に良い音は逃げてしまいます。自分でスピーカーセッティングの免許皆伝となれば、精度はいつでも取り戻すことができます。

更にアイデアは尽きません。このブログで行っているネット動画による比較試聴。これをオーディオ誌でも投入してみようと考えました。この比較試聴動画のポイントは、ネット動画の音質や、個人のパソコンオーディオ環境の良否を問うものではありません。確かにスマートフォンやノートパソコンのスピーカー再生では、違いを聴くのは困難でしょう。しかし、ビフォーアフター動画で異なるのは、セッティングの精度のみ。他の環境を固定し、比較することに意義があるのです。

このブログでもの比較試聴動画を掲載しておきます。まずは、ビフォー状態です。


いつものレクスト試聴ルームのパフォーマンスを聴き慣れていると、「なんだか音が硬いかな?」と思われるかもしれません。それで正解です。実際のビフォー状態は、とっても硬いサウンドでした。

次に精度の高いスピーカーセッティングを行い、記事にある音質向上テクニックを投入して実現したサウンドです。


いかがでしょう?テクニック学習の成果がネット動画でも実感していただけるでしょうか?実際に、大いに驚いていただけるサウンドが実現しました。

私としては、このセッティング・クリニックのシリーズ化をステレオ編集部にお願いしているほど、入魂の記事になっております。ぜひ、ご一読ください。そして、セッティング・クリニックのご感想やオファーをステレオ誌編集部宛にぜひ!

78年フェンダーを大幅改良

本日は、楽器のお話です。

以前、『20年のときを経て受け継がれるベース 前編』、『同 後編』というブログでご紹介しました、78年フェンダージャズベース。託したベーシスト川崎哲平さんより、いくつかリクエストを頂戴し、このベースは一旦レクストへと戻ってきていました。

せっかくの機会ですので、一般的な改修にとどまらず、全力で凝ってみようと欲が出てしまいまして・・・。結局は、内蔵してあったTCTプリアンプに、更にレクストオリジナルの追加回路を搭載するという大掛りなものになりました。

fender78_130415.jpg

この追加回路の狙いはと言いますと、TCTプリの美味しいところだけを抽出するという感じです。楽器内蔵プリアンプは、EQの可変範囲が大きくとられているものですが、実際に使えるポイントは絞られてきます。それならば、78年フェンダーに必要なポイントのみを取り出し、使わない領域は思い切って排除してみました。その結果、濃いベースサウンドを手元でコントロールできる、とっても使いやすいアクティブベースとなっています。このアイデア、流行ると面白そうです。

このTCT+REQSTとも呼べる新たなプリアンプを元に、楽器全体の仕込みや、ピックアップのチューニングなどを全て見直しました。更に、レクスト独自の振動コントロール技術を用い、最終的なチューニングを施しています。私も本日少しだけ試奏してみましたが、大満足の仕上がりです。

近日、川崎哲平さんとお会いし、再度この78年フェンダーをお渡しする予定。喜んでもらえると嬉しいです!

20年のときを経て受け継がれるベース 後編

本日のブログは、昨日続き、ベース・マガジン 2012年7月号の記事『20年のときを経て受け継がれる1本の銘器を巡るエピソード/レクスト×川崎哲平』(166ページ)と連動しております。前編、そしてベースマガジンの記事と合わせてお楽しみください。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

20年間も眠ってしまうことになった、銘器78年フェンダー・ジャズベース。一時は手放すことも考えました。しかし、“サドウスキー輸入1号”、“青木智仁氏前所有”と良いエピソードを持っているベースだけに、単なる中古品として出回ってほしくないという想いがあります。
なんとなくですが、その歴史を継いでくれる方との運命を待つことにしました。

そして出会ったのが、川崎哲平さん。著書『すぐできる! 新・最高音質セッティング術』の添付CD制作で、私が思い描いていた完成図をはるかに超える、最高のプレイを聴かせてくれました。川崎さんなら、止まっていたこのベースの歴史に、新たな音を刻んでくれると確信した次第です。

バイオリンの銘器が弾き続けられるように、良いベースは長く現役で音楽を奏でてほしいもの。レコーディングやライブで、この78年フェンダーが活躍してくれることを願い、川崎さんにこの78年フェンダーを託すことにしました。その譲渡会の模様を取材していただいた記事が、今回のベースマガジンです。

少し脱線しますが、ジャズベースについて解説しましょう。同じジャズベースタイプでも、70年代後期モデルは独特のサウンドを有しています。その秘密は、リアピックアップの位置にあるのです。

jb_65_78.jpg

分かりやすいよう、写真に線を入れました。右の78年フェンダーはリアピックアップが赤い線のように少し下側に設置されているのが分かると思います。ピックアップは、いわばマイクです。弦に対してマイクの位置が異なるのですから、両器でサウンドが異なるのは明白。このピックアップの位置が違うという情報も、インターネット検索の無い時代では、全く知られていませんでした。

マーカス・ミラー氏のサウンドに憧れて、どれだけ多くのベーシストがTCTプリアンプを愛器ジャズベースに搭載したでしょうか。しかし、あのマーカスサウンドには絶対になりませんでした。私もそれに泣いた一人(笑)。ジャズベースタイプは、いわゆる“オールドフェンダー”を手本にしているので、驚くことに新品・中古を問わず世に流通している9割くらいが、写真左のピックアップ位置を採用しています。単にTCTプリを内蔵しても、あのNYサウンドにならなかったのはそのためです。

最近では、マーカスサウンドを追い求めるベーシストは減少傾向にあり、逆に“マーカスっぽくない”ほうが好まれるようです。写真左のピックアップ位置から生まれるジャズベースサウンドが好きなベーシストのほうが、圧倒的に多いと思います。

しかし、同じジャズベースでも、とにかく私は写真右の70年代後半ピックアップ位置のサウンドが大好き。最近、77年や78年ジャズベースを愛器とするベーシストが減ってきているので、そのフラストレーションといったら(笑)!この78年フェンダーが活躍してくれたならば、私を含め70年代後半ピックアップ位置マニアは、大いに喜んでくれるはずです。

川崎さんの即戦力ベースとなるよう、レクストでも楽器本体に特殊チューニングを施しました。その楽器の各個体に合わせて振動モードを考慮し、特殊レゾナンス・チップを使用するチューニングです。ヘッドに金色系レゾナンス・チップが貼ってあるのが、ベースマガジンの写真で分かると思います。これにより、78年フェンダーは更に芯のあるサウンドへとグレードアップしています。この楽器本体へのチューンアップは、非常に効果が高いので、将来的には個別にご相談が受けられるようなプログラムへと発展させてみたいと検討中です。

今回の記事が掲載されたベースマガジンが、青木智仁氏の命日である6月発売であったのも、何かの運命でしょうか。生前、青木氏にこの78年フェンダーについて直接お話しを聞く機会がありました。使用されたのは角松敏生氏やノブケインのライブのみで、残念ながらレコーディングされた音源は無いとのこと。この銘器の歴史は、まだ始まったばかりなのです。

私も、今では音源制作ができる立場に居ます。そこで、この78年フェンダーを使い、川崎さんと面白い新作レコーディングをしてみようと企画中です。オーディオ好きの方が驚くような手法での新録音。それに使用する専用プリアンプ+ダイレクトボックスを新たに製作するつもりで、ちょうど回路図を今日書き上げました。著書『すぐできる! 新・最高音質セッティング術』添付CD。そしてハイレゾ音源として販売している『低音 played by D&B feat.EV』の続編となるような作品になりそうです。音源制作の時期は未定ですが、販売スタイルは、おそらくCDシングルとハイレゾ配信になるかと思います。どうぞお楽しみに!

最後に、78年フェンダー譲渡会で収録した動画から、まだ他にお見せできるところが無いかと探してみて、30秒くらいのフレーズを見つけました。『低音』CDのケーブル比較試聴のフレーズが、ちょっぴり飛び出します!ぜひご覧ください。



78年フェンダー譲渡会の動画は、すでに下記3つをアップロード済みです。合わせてご覧ください。

 ●ベース川崎哲平氏が弾く78年フェンダージャズベース
 ●【65年vs78年フェンダー】川崎哲平氏が弾く65年ジャズベース
 ●【65年vs78年フェンダー】川崎哲平氏が弾く78年ジャズベース

こうして65年と78年のジャズベースを聴き比べてみると、やっぱり私は78年が好き(笑)!決定版の新録、今からワクワクしています。

20年のときを経て受け継がれるベース 前編

本日のブログは、ベース・マガジン 2012年7月号の記事『20年のときを経て受け継がれる1本の銘器を巡るエピソード/レクスト×川崎哲平』と連動してお届けします。ベーシスト必見のブログです(笑)!オーディオ好きの方も、最後まで読んでいただければ、後編のラストに嬉しいニュースが待っていますので、ぜひご覧ください。

全ての始まりは、ベース・マガジンVol.09に掲載された『My Dear Bass』という記事。1987年11月号ですから、今から約25年前のベース・マガジンです。スキャンしましたので、ぜひご覧ください。(画像は、クリックすると拡大します。)

ベース・マガジン1987年11月号Vol.09

1987年当時は、もちろんインターネット検索など存在しません。ベーシストにとって、ベース・マガジンは貴重な情報源でした。この記事で初めて“マーカス・ミラーが使用するベース内蔵プリアンプの正体”は、「ロジャー・サドウスキーというNY在住のリペアマン」が鍵を握っているということを知るのです。

今ではネット検索すれば、マーカスのプリは“バルトリーニTCT”という回答が簡単に得られます。当時の記事には“ロジャー・サドウスキー自身による設計のプリアンプ”と紹介されていますが、その正体がTCTということが広まるのは、もう少し先の話です。当時の楽器専門誌には、こういった謎が解き明かされるワクワク感があり、良い時代でした。

このときに青木智仁氏が購入された、78年フェンダー・ジャズベース。様々な理由から青木氏の手を離れ、私の元へ嫁いできました。1992年ごろだったと思います。サドウスキー・ブランドが日本へ送り込んだデモ機1号、そして大ファンであった青木氏元所有ベースということもあり、ご機嫌なサウンドはもちろん、とても嬉しかったのを今でも覚えています。

私は1998年にレクストの前身であるRCCを創業することになるのですが、音楽関連の仕事に就くもののベースは全く弾かなくなり、宝物の78年フェンダー・ジャズベースも入手直後からほとんどオブジェとして眺めているだけになってしましました。青木氏の元を離れ、約20年間ほど眠ってしまうことになった銘器なのです。・・・(後編につづく)

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【宣伝】 
ベース・マガジン関係から、このブログを読んでくださっている方も多いと思います。少し宣伝をさせてください(笑)。

●ベース用ケーブル Z-LNC01 Jシリーズ ≫詳細
レクストでは、あの世界最高峰ベーシストであるアンソニー・ジャクソン氏のケーブルを手掛けています。アンソニー氏の使用するケーブルは、ニューヨークの楽器屋さんを回っても売っていません(笑)。この日本にあるのです!(アンソニー氏とのエピソードは、こちらのブログに詳しく書きました。)

この楽器ケーブルの特長は、“音を良くする”というよりも“楽器からアンプへ流れる音の道幅を太くする”というイメージで伝わりやすいかと思います。アンソニー氏に惚れ込んでいただいたのも、そのポイントです。究極のケーブルをぜひ!


●『音の名匠が愛するとっておきの名盤たち』 ≫Amazonのページへ
私の著書第2弾では、あのマーカス・ミラー氏、そしてアンソニー・ジャクソン氏という、世界2大ベーシストへの夢の取材が実現しました。お薦め名盤を聞き出してきたのはもちろん、音に関する様々な質問を、ベースファン代表としてぶつけています。ベース・マガジンや従来の音楽誌とは違う切り口を目標にしました(笑)。ぜひ読んでみてください。


●『すぐできる! 新・最高音質セッティング術』 ≫Amazonのページへ
私の著書第3弾。ベース川崎哲平氏を大フューチャーした音源制作をしたくて、それに合わせた曲まで書いてしまいました(笑)。徹底してスラップ弾きをリクエストした結果、全編ベースソロのような内容になっています。最後にはベースケーブルの比較試聴トラックも!フェンダーマニアの私が、ジャズベース好きのために制作したような添付CDとなりました(笑)。必聴です!

Profile

image
株式会社レクスト
0267-31-0889(Tel)
info@reqst.com

New Entries

Categories

Archives(933)

Link

Search