F10チューニング解説

アバックさんイベントでのDAC-NS1Sの解説が、NS441D技術とF10チューニングの概念をうまく解説できていたと思いましたので、文章化してみたいと思います。

レクストでは、オーディオ機器の開発・販売だけでなく、音楽ソフトの制作にも関わってきました。マスタリングスタジオで音楽ソフトの誕生に立ち会えるのは、素晴らしい経験です。44.1kHz/16bitマスターで聴く、出来立てほやほやの音楽は、エネルギーに満ち溢れ感動的なサウンド。それがCDソフトになって手元に届くとき、2つの大きな“違和感”を感じます。

ひとつは、“音楽の変質”。レコードをアナログカセットに録音していたころは、テープ・ヒスノイズやダイナミックレンジの減少など、音質の“劣化”を感じていたものです。100点に対して70点になるような変化が、アナログの劣化でしょう。

それがデジタル時代になり、“劣化”ではなく、何か音楽の根本がゆがむような、クオリティーの変化を感じるようになりました。似て非なるものを聴いているような違和感。デジタルの0と1の羅列に変化はないのに、44.1kHz/16bitマスターと量産されたCDソフトには、明らかな音質差となって感じる“変質”があります。

この音質差を解決したのが、NS441D技術です。NS441Dの誕生により、音楽が“変質”してしまう問題は、『解決!』と宣言したいほどのレベルまで改善できました。例えば、バイオリンの高音が、CDソフトでは“ピー”と聴こえていたのが、NS441Dでは録音された通り“キュ〜”と奏でられます。演奏の抑揚も同様に、ミュージシャンの感情表現そのものに呼応します。NS441D技術によって、CDソフトのサウンドは、柔らかく、暖かく、長く聴き続けられる音楽へと、その輝きを取り戻しました。

しかし、もうひとつ、どうしても解決できない問題がありました。“音楽エネルギーの減少”です。レコーディング時の音楽エネルギーを100%とすると、私の感じるところだと、残念ながらCDソフトには40%くらいしか音楽エネルギーが残ってくれません。なんとか引き出そうと研究を重ねたのですが、少なくなった音楽エネルギーをこれ以上取りこぼさないのが精一杯でした。

イベントで、96kHz/24bitのミックスダウンマスターを皆様と一緒に聴いたことがあります。100%の音楽エネルギーの試聴です。参加された方のショックは大きく、DAC-NS1Sユーザー様でさえ、しばらくは自宅システムを聴けなくなったといいます。NS441D技術が完成したと、浮かれてはおれません。なんとか、40%まで減少した音楽エネルギーを100%に近づけなくては。

軽井沢への開発拠点の移転で、そのヒントが得られたのです。今までは、音楽ソフトの記憶に、その音楽エネルギーを求めました。しかし、無くなった音楽エネルギーは、どうしても取り戻せません。軽井沢に来て、発想の視点を変えることができたのです。音楽エネルギーを、機器のエネルギーを利用して取り戻すことはできないものかと。

F10チューニングの発想は、レクスト機器のエネルギーアップでした。ここで面白い現象に気がつきます。それまで、機器による色づけを極度に嫌って開発したのが、レクストのDAコンバーターとスピーカー。オーディオメーカーのサウンドなど一切不要で、音楽の記憶に忠実に追従する機器を目指しています。その機器がエネルギーアップすればどうなるのか。見事に、音楽エネルギーが100%に戻っていくように作用するではありませんか。

そこで、F10チューニングで考えたのは、DAコンバーターとスピーカーの2段階で、音楽エネルギーを元に戻す手法です。各々の機器に30%ずつの回復を受け持たせれば、40+30+30=100%の音楽エネルギー改善が実現することになります。これがF10チューニングの概念です。

結果、イベントで96kHz/24bitのミックスダウンマスターを体験されたお客様から、「CDソフトから、あの音が再現された!」と多くのご感想を頂戴しました。また、音楽エネルギーの上昇は、ご家庭でもグレードアップ感が再現しやすく、音の好みを超越して受け入れられています。先日のアバックさんのイベントでも、高級DACに大きな差をつけ「目から鱗」との評判でした。

F10チューニングは、開発時に想像していた以上の成果があります。「オーディオの革命だ!」と、声高らかに叫びたい気分です。フライデーイベントや、貸し出し試聴を利用して、ぜひその音楽世界に触れていただければ嬉しいです。

F10出荷しました。

今週までにお預かりしておりました機器は、全数のF10チューニングとご返送を完了しました。到着まで、もう少々お待ちください。

明日10月23日(金)のフライデーイベントはお休みです。そのかわり、10月24日(土)は、アバック秋葉原さんでイベントを開催します。(≫詳細)ぜひご参加ください。DAC-NS1SのF10チューニングバージョンや、新スピーカーケーブルの試作品などを、アバックさんの試聴ルームで鳴らします。ご期待ください。

F10チューニングは、お客様宅でも非常に高い評価を頂戴しております。確信しておりましたが、実際に喜びのご感想をいただくと、やはり嬉しいものです。しかし、皆様。特に、DAコンバーター、またはスピーカー単体でF10チューニングを楽しまれているお客様。F10チューニングは、DACとスピーカーのコンビネーションによって、真の効果を発揮します。試聴機貸し出しサービスなどをご利用いただければ、この真意は伝わるのではないかと(笑)。

アバックさんのイベントでは、DAコンバーターだけなのが残念ですが、それでもNS441DとF10チューニングによるCDソフトの再現は、初体験のお客様が多いことでしょうから、驚いていただけると思います。私も楽しみにしております。

F10の費用

F10チューニングの価格を決定しました。1機種あたり7,350円(税込・返送料込)です。

実際の作業効率を確認するため、先週のイベントで試験的な受付を開始しました。すでに、DAC-NS1M×3台、DAC-NS1S×1台、SH-SP7×4セット、DSW-T1 Signature×1セットが、レクスト軽井沢に到着しております。

チューニング作業費を低価格に抑えるために、やはり製品箱での梱包発送は必須です。お客様より送られてきた梱包を解き、F10チューニングを施し、試聴による音質チェックを行った後、再梱包してご返送します。この流れで、梱包作業が重要なのがご理解いただけると思います。

製品箱でのスムーズな梱包作業があってこそ、今回の7,350円というF10チューニング費が実現できます。もし製品箱を廃棄された場合は、別途送料などが必要となりますので、ご相談させてください。

対象製品は、DAC-NS1M、DAC-NS1S、DW-S1、DSW-T1 Signature、DSW-T1、SH-SP7です。全部で数百台という数量のバージョンアップですので、とても一度には作業できません。お客様とスケジュールを調整しながら、できるだけお預かり期間が短くご返送できるよう、バージョンアップを進めていければと思います。

梱包以外の条件としましては、改造機でないことが絶対です。中古で入手された製品(弊社斡旋機を除く)の場合は、改造機であるかどうかの確認が必要ですので、一度ご相談ください。

近く、F10チューニングのご案内ページを製作する予定ですが、お急ぎのお客様はメールにてご相談ください。すでに来週の予定も入り始めておりますので、スケジュールを調整しお返事させていただきます。

F10開発ストーリー

F10チューニングは、個々の製品バージョンアップではなく、レクスト製品(DACとスピーカー)全体のグレードアップです。今後お渡しする製品につきましては、価格据え置きで標準装備し、すでにお買い上げいただいているユーザー様には、有償アップグレードで対応します。今日は、F10チューニングの開発に至るエピソードをご紹介したいと思います。

軽井沢と東京の、2つのレクスト試聴ルーム。大きな違いは、部屋とアンプです。レクスト軽井沢は、10万円クラスの真空管アンプA-55T。レゾナンス・チップのチューニングキットを使用し、電源ケーブルをZ-PRC01に交換してあります。鳴りっぷりの良い真空管アンプですが、レクスト東京のDA04+REQSTバイアンプ仕様とは、価格も大きく異なりますので、サウンドに差があるのは仕方のないところです。

部屋は、レクスト東京が5年の歳月をかけルームチューニングを検討してあるのに対し、レクスト軽井沢はスタートしたばかりの試聴ルーム。天井の高さや部屋の広さをリフォーム時から設計したレクスト東京とは異なり、軽井沢は一般的な洋室です。

レクスト軽井沢をスタートさせた当時、この部屋とアンプの違いを痛感し、思ったようなサウンドが得られませんでした。ここに大きなジレンマがあったのです。DAC-NS1SとSH-SP7というレクスト製品が、部屋とアンプの影響でその実力がフルに発揮できていないという寂しさ。これは、お客様の環境でも、大いに起こりうる現象ではないかと考えました。

休日のある日、旧軽井沢を散歩していると、愛犬に導かれるように、ひとつのパンと出会いました。私はオーディオマニア以上にパンマニアですので、まだガイドブックにも載っていないその手作りパンを迷わず購入。見た目が美味しそうだったというよりは、とりあえず新しいパンを見つけると、買わずにはおれないマニアの性からでした。

食べてみて驚いたのなんの(笑)。私の中の“美味しいパン”ランキングが、あっという間にひっくり返されました。焼きたてはもちろん、翌日になっても冷凍しても、その美味しさに揺るぎがありません。間違いなく、私の食べてきたパンの中でナンバーワンです。

食べ物からインスパイアされるというのも不思議な話ですが、レクスト製品は、接続される機器や部屋の環境に左右されることなく、揺るがぬサウンドを奏でほしい。開発した私達は知っている、『秘めたる性能は、こんなものではない。』という想い。そこからF10チューニングは生まれました。

培ってきた振動コントロール技術を更に応用し、今までの良さはそのままに、レクスト製品の持つ性能を発揮させるという概念。具体的には、DAコンバーターならばアンプの影響、スピーカーならば設置場所や部屋の環境。それらに引っ張られることがなく、機器本来の魅力あるサウンドを奏でるのが、F10チューニングです。

F10チューニング施工により、レクスト軽井沢では、DAC-NS1Sは水を得た魚のように、スピード感と広大な音場、そして音楽の抑揚を、アンプに関係なく取り戻してくれました。SH-SP7は、センター音像が濃く描き出され、特に低音がウーファーの口径が大型化したように充実しました。もう、部屋やアンプの悩みは消し飛んでいます。

自社製品だから分かる、実力が出し切れている状態。これを常に再現できるようになったのが、F10チューニングの成果です。

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株式会社レクスト
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